1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Ur4Ma6T
俺が出張で東京のビジネスホテルに泊まった時の話だ。
ホテルに到着して一休みしようとした時、たまたま路地を挟んだ向かいの同じようなビジネスホテルを見た。
俺の部屋とちょうど同じ位置のひとつ下の階から、男が飛び降りようとしていた。
俺は急いで携帯を持って部屋を出た。
なぜならその男は大学にいた時の同期だったからだ。
なるべく早く歩きならがら、そいつの携帯の番号に電話をかける。
「もしもし、久しぶり。○○だけど」
「・・・ああ、なんだお前か。いま立て込んでるんだが、後からまたかけ直していいか?」
「いや、今じゃなきゃ駄目なんだ」
そうして何気ない会話をしながら、向かいのビジネスホテルに入った。
ちょうどフロントは不在で、階段を使ってその部屋に向かう。
ホテルの造りも似ていたので、部屋はすぐにわかった。
急ぎながら、しかし相手に気づかせないように会話を続けるのが難しかったかな。
そうして、あいつの部屋の前まで来たところで言った。
「あの頃は楽しかったな」
「・・・ああ、本当にな。あの頃に戻りたいよ・・・」
幸いなことに部屋の鍵は掛かっていなかった。
「まったくだ」
その言葉と共に俺は部屋に突入してベッドルームに向かった。
結果からいうと間に合わなかった。
男はすでに飛び降りた後だった。
問題はその男の死因が、ベッドの上から飛び降りて死んだ首吊り自サツだったことだ。

管理人
飛び降りようとしたのは幻覚だったのか、
それとも気付いてほしかったのか…
電話は死んだ後繋がったものだったのかな?
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