256: 1/3 2011/03/20(日) 13:17:30.29 ID:j7cKfLsQ0
お彼岸なので1つ話を
今思えば、あのとき「洒落にならない」という危機感があれば、
もう少しその後の人生が平穏だったかもしれない話
当時、役場に勤めていた兄の友人から頼まれて共同墓地の納骨をやっていた
「墓は建てられないけどお骨を納めた所にお参りに行きたい」
という遺族の要望があってのことらしい
年に2回、春と秋の彼岸に4~5個は毎年納めていたと思う。
実際に作業するのは地元の有志2人と役場の担当者の1人
納骨とお墓の掃除で半日くらいで終わる仕事で
作業が終わると「お清め代」と言う名目で日本酒と6000円のお金がもらえた
合理的な説明としてはクリーニング代ということなんだけれども
酒が貰えるということもあって、いつも3人の飲み代に使っていた
入ったことがある人はわかると思うけれども
お墓の中というのは独特な雰囲気があって
びしょびしょになった骨壷、むせるように舞う埃
「元」が人だったことを考えるとちょっと気分が悪くなる感じ
そういったこともあって作業する人はころころ変わっていた
257: 1/3 2011/03/20(日) 13:22:46.98 ID:j7cKfLsQ0
その日は、朝から少し熱っぽかった
作業を4時過ぎに終えて役場に報告に戻って
いつもだったらそのまま3人で飲みに行くところだったんだけれども
「風邪引いてるから」と言ってお金だけ貰って帰ってきたんだ
当時住んでいたのは会社が持ってる2DKの独身寮みたいなところだった
1階の端部屋で、寝室として使っていた所だと通りを歩く人の声も聞こえる
その夜の9時頃だったと思う
「ゲホゲホ」
って若い女性が咳き込む声に気付いた
声が聞こえることは珍しいことじゃない
でも、声が遠ざかりも近づきもせず、靴がアスファルトを叩く音もなかった
だからそのときは(ああ、誰かを待ってるんだろうな)と思っただけだった
それから1週間経ったくらいのことだったと思う
「ゲホゲホ」
って若い女性の声が聞こえた
そのときも(ああ、誰かを待ってるんだろうな)と思った
そこで、あれ?と思った
(こないだも咳き込む声が聞こえたよな?)
(まさか同じ人じゃないよな?)
258: 3/3(↑は2/3) 2011/03/20(日) 13:25:45.02 ID:j7cKfLsQ0
そう思った瞬間
「そうだよ」
という声がした。若い女性の声だった。
顔を上げると突然
ガシャン、と窓が割れた
そのときなぜか(入ってきた!)と思って、とにかく部屋から飛び出した
その日は3階の同僚の部屋で泊まらせてもらった
「悪戯で寝室の窓が割られて寒い」とか理由を付けていたと思う
窓から通りまでの距離は近いと言っても2mはあるし、柵もある
翌日寝室を調べてみたがガラスの破片以外はなく、何かが投げ込まれた形跡もなかった
結局、日本酒を飲まなかったことが悪いかどうかについては分からない
納骨の仕事自体はその後も何度か続けた
けれども、このとは自分の中で「説明のつかない出来事」の1つに加わった
(入ってきた!)と思った部屋に長くいるのも嫌だったから
数ヵ月後に後輩に部屋を譲って4階に住むことになった
そこでもいろいろと「説明のつかない出来事」が続くことになったんだけども
まとめないとうまく話せる気がしないのでまた今度投下します。
読んでくれた人、ありがとう。

体調悪いと付け込まれやすい、って言うし
タチ悪いのがその時憑いてきたのかもね
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