2階の踊り場で座り込んでいるお婆さん

1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Ur4Ma6T

中学生の時の事です。

その日は部活が長引いて帰りが遅くなり、外はすっかり暗くなっていました。
帰り際、筆箱を忘れた事に気づいた私は、一人で教室まで戻る事になりました。

シンとして暗い階段を、3階まで行かなくてはなりません。私は急いで駆け上がりました。
2階の踊り場が視界に入ったときの事です。

私は思わず立ち止まりました。

踊り場の、窓の下の壁によりそって、やせたお婆さんが座り込んでいるのです。

長い白髪を額の真ん中で分けて後ろでくくり、着ているのはすり切れた和服のようでした。
膝をかかえ、斜に構えて、こちらをずっと見ているのです。

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私とお婆さんはしばらくにらみ合ってましたが、私はたまらなくなって引き返しました。

凄く恐かった。

本当は、どうしたのですかとか、御気分が悪いのですかとか、ちゃんと聞いて、先生に伝えるべきところでした。
でもみぞおちから足までが冷たくなって、早く遠ざからないと殺される、という感覚で一杯でした。
校門で待っていてくれていた友達は、私のただならぬ様子に驚いてわけを尋ねました。

キャプテンの子が、話を聞いて「今日は全員このまま帰った方が良い」と言ってくれたので、急いで皆で手をつないで帰りました。

翌日、その踊り場に行ってみましたが何もありませんでした。

聞いたところでは、その年は古いダルマストーブが大量に廃棄され、休日にその当たりに積んであったようだ。との事でしたが、関係あるかどうかは不明のままでした。

あの痩せたお婆さんは私に何かを伝えたかったのでしょうか。

友達が皆、あまり話さない方がよいと言うので黙っている事にしましたが、その頃から「あの踊り場は、夏でも何だか涼しい」と言われるようになりました。

今でも踊り場というと、あのお婆さんの顔が浮かんできてゾッとします。

それで私は、階段を上るときは、なるべく下を向いて一気に駆け抜けるようにしています。

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