某ショッピングモールの防犯システムが深夜2時頃に誤作動を起こすようになった→警備員3人がカメラを設置したところ・・・

357 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/11 00:23

 門外不出の話なので、いろいろと差し障りがあって実名を書くことはできない。
まあ、私もこの事件に関わった一人なので、だいたいの経緯は知っているのだが、今もあれが何だったのか、理解に苦しむことがある。
 数年前、私は東京の某ショッピングモールでビル管理の仕事に就いていた。
夜半まで営業するレストランがあったり、早朝から開店するコーヒーショップのせいで、私の勤務も週三日は夜勤だった。
 当然、警備も24時間体制になっていた。
オープン一年目はいろいろあり、気の抜けない毎日を送っていたが、三年目からはだいぶ安定してきたように思う。
タイムスケジュールやルーティンワークがたいした支障もなく稼動するようになっていた。
つまり、ビルのインテリジェントシステムがうまく働いていたのだが………。

 ある日、アルバイトで勤務していた警備員の間から、奇妙な噂がたった。
とにかく、規模の大きな建物なので、いろいろと事故はあった。
建物の敷地内でホームレスが行き倒れになっていたり、ビルの改修作業中に死者が出たりと。
 それが原因で幽霊らしきものを見たという勤務員も数人はいたのだが、それは良くあることだろう。
私も暇な夜の余興みたいなものだと思っていた。

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 幽霊よりも不審人物や侵入者の方が実際は脅威なのだ。
ビル管理にしても、空調設備が故障したり、トイレの配管が詰まったりする方がよほど怖かった。
 だが、警備員の噂にはその要素があった。
防犯システムが誤報を頻発するようになったのだ。
建物には赤外線のパッシブセンサーと、それに連動する監視カメラがあった。
まず管理室で警報が鳴る。カメラのモニターがその周囲を映し出す。
そこには何も写っていない。こんなことが三日おきくらいにあった。
 場所は建物三階の非常口。うつ病の男性が飛び降りた場所でもある。

 

 

359 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/11 00:26

警備員の連中にしてはたまったものではない。
ちょうどうたた寝したくなる深夜二時くらいに警報が鳴るのだ。
規則では見回りしなければならない。
 この問題を解決するのに、ビル管理と警備で意見が分かれた。
一つは、防犯システムの改善だったが、時間と経費がかかることになりそうだった。
もう一つは、坊さんを呼んでお払いしろとの意見だ。
 実際、神頼みの連中が閉店後盛り塩を置いたことがあった。
その夜は誤報が連続し朝には塩が散乱するという有様だった。
 お札を貼るという提案も、ビル関係者に一蹴された。
そんな紛糾する中、三人の警備員が自分たちで解決しようと動いた。
監視カメラは巡回システムをとっており、何かあった場合だけ、手動で定点カメラにするという規則があった。
ならば自分たちでカメラを持ち込み、深夜撮影しようというのだ。

 十二時にカメラをセットし、二時間おきにテープ交換するという方法だったが、これといった成果もなく、一週間ほど過ぎた。
 その間、なぜかぴたりと誤報もやみ、三人の熱意も冷めかけていた頃だった。
何も写っていないテープを四時間も見るのは苦痛な作業だったと思う。
アルバイトで警備の仕事をしていたAは、夜十時から朝六時までの勤務を終え、自宅のアパートに重い足取りで辿り着いた。
 警報が鳴る寸前の映像が見たいのに、昨夜もセンサーは働かなかった。
たいした期待もせずにAはテープをサーチしながら見ていたのかもしれない。
 にもかかわらず、Aはついに見た。そして、勤務しているBに連絡しようとした。
シフトに就いているはずのBはおらず、代わりにCがいた。
 CはBが無断欠勤した為、急に会社から現場につくよう指示されたと言う。
Aは何か思い当たることがあるらしく、興奮しながらCにまくしたてた。
「ビデオにBが映ってる」
「一瞬カメラの前を横切り、不安そうな顔で振り返った」
Cは要領を得ずに問いただすと、Aはこれからテープを持ってそちらに戻ると言い出した。
バイクで行けば一時間くらいで着くだろう。いや、その前にBの家に行く。
「おい、もしかしてBは夜中にあの非常口に行ったんじゃないのか?」
Cが不安になって訊ねた。
「いや、ありえない。センサーが反応しなかった」
そこで電話は切れたそうだ。
それから三十分もしないうち、Aは交通事故で死亡した。

 

 

361 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/11 00:27

 私はこの話をCから知らされた。
手紙によって、Aが亡くなり、Bが失踪した事実を知った。
AがCに見せようとしたテープは紛失したらしい。
事故現場にもなかったそうだ。
別のテープが同封してあったが、私には見る勇気がなかった。
Bの自宅にあったテープだそうだ。
テープについてのコメントは一切無かった。
Cはこのテープを見たのだろうか?
ついに聞くこともないまま、連絡が取れなくなった。
そして、あまり親しくもなかった私に、手紙を送ってきた理由は分からない。
ただ、私はそのテープを見ることもなく、すぐに処分した。

                お わ り

 

管理人
管理人

結局何も分からずじまいか。
実際起こったらこんなものなのかもしれないね。

コメント

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