篠田節子の「リトル・マーメイド」という短編

1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Ur4Ma6T

篠田節子の「リトル・マーメイド」という短編です。
過去スレで人魚話祭になってたのを見て思い出したので紹介してみます。
うろ覚えの部分は適当に補足してるので原作と内容が違ってるかもごめん。

「リトル・マーメイド」

形が伝説の人魚にソックリなことから、「マーメイド・リマキナ」と
いう名前がつけられた水棲の軟体動物がいた。
あるペット会社が遺伝子操作による品種改良に成功し、
体長が大きく(数mm→4cm)飼育も簡単な新種のリマキナを売り出すと
メディアにも取り上げられ、日本に爆発的なリマキナブームが起こる。

リマキナは人魚に似ていて、しかも下腹部の一部が女性器のような形になっているので
そのエロティックさから狂信的な男性愛好家も獲得していった。

しかしペットブームなどすぐに収束するもので、リマキナも段々と
世間から飽きられていく。人々に忘れられていくリマキナ。

そんな中、一人の愛好家の青年がインターネット上の掲示板に
「リマキナを見ていたら変な気分になってきた。
 ためしに口に入れて、生きたまま食べたら以外に美味しかったよ」
という内容の書き込みをする。

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はじめは
「ネタ乙」 「ペット殺し市ね」 「通報しますた」と
取り合わなかった人々も、好奇心から数人が同じようにリマキナを踊り食いし始める。
なるほど食感も良く、サッパリしたウニのような味わいも良い。

忘れられたペットリマキナは、新しい高級グルメ食材として再び脚光を浴びる。
繁殖技術を独占していたペット会社は、またも莫大な収益を得ることになった。

ところが程なくして、突然何かにとり憑かれたようになった人々が
海やプール、風呂場や洗面器の水で溺死自殺するという怪現象が多発する。
溺死者の吐しゃ物を調べるとそれはなんと、大量のリマキナの幼生であった。
リマキナは人間の体内に入ると単性で産卵し、数日後に卵が孵化すると幼生がその人間の中枢神経を操って水場に向かわせ、自分たちを口から吐き出させていたのである。
品種改良の副産物として、実はこのような繁殖方法を体得していたのだった。

リマキナは危険な寄生生物として食用はもちろん、観賞用に販売されていたものも
回収され、すべて処分されることになった。
溺死者が幼生を吐しゃしたと思われる水場も徹底的に消毒などが施されていき世間は一時パニック状態に陥った。
品種改良したリマキナを売り出したペット会社も倒産し、
人間の体内に入る以外に繁殖方法を持たない改良リマキナは絶滅していった。
パニックも収まるころにはリマキナは完全に人々から忘れ去られいた。

ラストシーン。
薄暗いアパートの一室で、一人の男が水槽の中のリマキナを見つめている。
のびのびと優雅に泳ぎ回るその姿は相変わらず人魚に似て美しく、艶かしい。
このリマキナが死んでしまえば二度とリマキナを飼うことはできないのか……。
いや。男は不意に水槽に手を入れてリマキナを掬い上げ、
手の中でもがくリマキナをゆっくり口に含むと、そのまま飲み干した。

以上です。

あらすじにしてしまうとありがちなバイオホラーて感じなんですが
生き物を勝手に品種改良してペットとして持てはやし、
飽きたら珍味として祭り上げ、最後は自分たちの都合で根絶やしにする、という
動物やペットに対する人間社会の身勝手さが架空の生物マーメイド・リマキナを通して
書かれていて、不気味というかジワッと後味悪かったです。
リマキナ側からみたら男を誘惑して繁殖チャーンスな最後は
むしろ後味良いような気もしますがw

余談ですが東野圭吾の「エンジェル」という短編がこの話に似ているそうで、
そちらも後味悪そうならどなたか紹介してほしいです。

 

管理人
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篠田節子さんの「静かな黄昏の国」に収録された作品です。

東野圭吾さんのエンジェルは「毒笑小説」に収録されています。

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