友人宅で泊まった真夜中ドンッ!という物音で目が覚めた→すると読経の声が聞こえて来て、縁側で頭だけの老人の姿が見え…

1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Oh9Puha

その夏、僕は友人の帰省先の自宅に泊めて貰う事になりました。
離れの一階にある部屋で、僕等は酒を飲みながらあれこれ話こんでいました。
夜もすっかり更けたので、僕等は休むことにしました。

友人がいいました。

「二階にうちのバアチャン居るだろ?ジイチャンと死に別れてから、ちょっとな・・・。突然夜中に大声で御経読んだりするんだよ」
僕は深く聞くことを避け、いつのまにか眠りにつきました。
どのくらい経ったか、真夜中、
「ドンッ!」
という大きな音で目を覚ましました。どうやら天井が鳴ったようです。

ついで、低くて抑揚のない呻き声のような読経の声が聞こえてきました。

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微かに『ぬぅえ~、ぬぅえ~』
と聞こえてくるのです。
「どうしようもない。あれが終わるまで起きていよう」
そう決心した矢先、僕はあることに気付きギョッとしました。
先程から聞こえてくるお婆さんの読経の声は、ある言葉を紡いでいたのです。

それは
『ぬぅえ~、ぬぅえ~』
ではなく、

明らかに
『死~ねぇ~、死~ねぇ~』

と言っていたのです。
「なんだ、この声は?」
僕は慌てて上半身を起こしました。
縁側に老人の顔が見えたのです。

「あれ?」
そうです。どうやら、お婆さんはまだ二階に居るのです。
いや、二階にいるのがお婆さんだとしたら、

目の前にいるのは誰なんだ?

僕の身体は精神ごと完全に固まってしまいました。
縁側に居たはずの老人がこちらに近づいてくるのです。

それも頭の部分だけが・・・。

僕は恐怖と混乱で、隣で寝ている友人を叩き起こすことすら出来ません。

少しでも目を離したらいけない、離せばさらに近づいてくるかもしれない。

そんな気がしていると、視界の端に友人が体を起こすのが見えました。
「じいちゃん!!」

「え?」

僕は友人に目をやりました。
ズザザザザッ!

その瞬間を待っていたかのように、老人の頭が畳の上を物凄い勢いで僕に近づいてきました。

そして、そのまま大きく口を開けて僕の左足の踵に

ガブリッ とかじりついたのです。
「ぎゃあっ!」

あまりの驚きに声をあげると、老人の頭はスーッと消えてしまいました。
しばらくの放心の後、僕は友人に言いました。

「お前のお婆さん、今みたいに、お爺さんを毎晩見てるんじゃないのか?」

「おじいさん」に噛まれたあの感触をいまだに忘れる事が出来ません。

生暖かく、ぬるりととしたあの嫌な感触。

そう、あの「おじいさん」の口は、すべて歯が抜け落ちていたのです。

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