1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Ur4Ma6T
ずっと入院していた義母が他界したので、義弟夫婦と夫の4人で、義実家の整理に行った。
隣の家まで歩いて10分という、土田舎。
電気も水道も止めてもらっていたので、色々と手続きが面倒だった。
私と義妹で家の片付け、夫と義弟がご近所さんへの挨拶回り。
昔は庄屋だった義実家は、戦前は何人もの奉公人が住み込んでいただけあり、部屋数も多く、とにかく広い。
「うちでは管理しきれないわ」
「うちも無理だわ、遠いし」
「処分するしかないわね」
「でも主人達にとっては生家だし、なんて言うかしら」
「そうね~」
などと言いながら、とにかく家中の雨戸と窓を開けていると、電話が鳴った。
昔ながらの黒電話だ。
出てみると、聞き覚えの無い声で、
「お戻りだったのですね、お待ちしておりました。これから伺います」
と言われた。
「どなた様でしょう?」
と聞いたのですが、相手は答えずに電話を切ってしまった。
夜には帰るつもりだったので、義妹と慌てていると、夫達が帰ってきた。
電話の事を話して心当たりを尋ねると、義弟が笑って言った。
「義姉さん。真面目な顔で何言ってるの?その電話はどこにも繋がってないよ。10年前に子機付きの新しい電話機に換えた時に、線も引き直したんだよ、ほら、」
と黒電話のコードをたぐり寄せた。
電話線は途中で切れていた。
凍り付く、義妹と私。
その目の前で、黒電話がまた鳴り出した。
今度は4人とも凍り付く。
「来るって言ったのか?」
と夫が言った。
義妹が泣き出し、4人で戸締まりもそこそこに、車に飛び乗った。
それ以来、義実家には帰っていない。
処分は業者に頼んだ。

管理人
一体だれが来るっていうんだろう…
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