「サンタって本当に赤い服でお爺ちゃんなのかな…せや!寝たふりで確認したろ!」→夜、物音がして赤い服の髭をたくわえた老人が見えた→「サンタだ!」と思い近づいてみると…

1: 以下、名無しにかわりまして裏島哲郎がお送りします:2004/04/04(日) 04:44:44.44 id:Ur4Ma6T

以前『極狭ドライブ』で体験を語ってくれた田村君が連れてきてくれた、

田村君と同じクラスの宇治原さん(仮)という女の子から聞かせてもらった体験談だ。

サンタクロースと言えば、赤い帽子を被り、赤い服を着用した、

白髭をたくわえたふくよかな老人というイメージが一般的だろう。

しかし、宇治原さんにとってのサンタクロースのイメージは少しばかりズレていた。

子供の夢を壊すようだが、

もちろん宇治原さんにプレゼントをくれるのはサンタクロースなどではなく、当然宇治原さんの親だったのだが・・・

ある程度の年齢に達すればサンタクロースの正体も自然とわかるものだが、宇治原さんの中では、

最近までサンタクロースは本当にいるんだという確証のようなものがあった。

宇治原さんは小学校3年生のクリスマスに初めて『サンタクロース』と遭遇する事となる。

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その年の12月24日。

宇治原さんはサンタクロースが本当に赤い服の老人なのかが気になり、

その晩、布団を被って寝たふりをしたままサンタが現れるのを待っていた。

どれ程時間が経ったのかはわからないが、布団の中の宇治原さんは物音に気付いた。

それはカーペットを踏む足音のように聞こえ、宇治原さんはもしかしたらと思い、

布団から顔を出して音の主を見ようとした。

布団から顔を出すと、宇治原さんのベッドの横に何者かが立っていた。

その風貌は赤い服を着て、髭をたくわえた老人だった。

サンタクロースだ!

そう思った宇治原さんが布団から這い出ると、途端にその姿は消え失せてしまったという。

サンタクロースとは見られると消えてしまうもの。

宇治原さんはそう覚えた。

次の朝目を覚ますと、枕元にはちゃんと包装されたプレゼントがあり、宇治原さんの中で、

ベッドの横に立った老人は間違いなくサンタクロースなのだと認識された。

それから毎年、クリスマスになると宇治原さんはサンタクロースとの遭遇を楽しみに、

布団の中でサンタクロースを待つようになった。

そんな宇治原さんに応えるように、赤い服を着た老人も姿を現した。

だがやはり、布団から出ようとするとサンタクロースは消えてしまう。

だが、歳を重ねるうちに宇治原さんは気付いた事がある。

毎年現れるこの老人を観察していると、老人の赤い服は、大きな赤い染みである事に。

そしてサンタクロースの本当の正体に気付くのは実にひょんな事からだった。

宇治原さんの父方の実家、宇治原さんからすれば祖母の家に遊びに行った時、

祖母の私室の天井近くに飾られていた写真を見て、その人物の顔に息を呑んだという。

宇治原さんの家に訪れる『サンタクロース』その人だった。

写真の人物の事を祖母に尋ねると、その人物は祖母の父で、宇治原さんの曽祖父に当たる人物だったのだ。

お婆さんの話しによると、曽祖父は酔っ払いと喧嘩をしたあげく、刺されて死んでしまったのだそうだ。

その命日が、12月24日だったという。

そう聞かされたところで、毎年その姿を見ていた分、恐ろしいという感覚は起こらなかったそうだ。

今でも12月24日の夜になると、曽祖父は宇治原さんのベッドの横に現れるという。

何をするでもなく姿だけ現している曽祖父は、もしかしたら曾孫の成長を年に一度、

命日に確認しに来ているだけなのかもしれない。

田村君はまた何か良いネタを仕入れたら教えてくれると約束してくれた。

実に良い青年だ。

 

管理人
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中々ワイルドな爺さんだったんだな

コメント

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