帰らない郵便物

啓介は引っ越したばかりのアパートで新しい生活を始めた。ある日、前の住人宛ての郵便物が届いた。最初は気にせず返送しようとしたが、数日後、同じ手紙が再び彼の郵便受けに入っていた。

奇妙に思った啓介は手紙を開けることにした。中にはただ一言、「私はまだここにいる」と書かれていた。ぞっとした彼は、その手紙を捨てたが、翌日には再び同じ手紙が届いていた。恐怖に駆られ、警察に相談することも考えたが、証拠は手紙一枚だけだった。

数日後、夜中に啓介は突然目を覚ました。ふと気づくと、ドアが少し開いており、冷たい風が部屋に流れ込んできていた。そして、誰かがドアの向こうから彼をじっと見つめている感覚に襲われた。手紙に書かれていた「私はまだここにいる」という言葉が脳裏にこびりつき、彼はその夜から部屋にいることができなくなった。