トイレの壁

奇妙な話、不思議な話

あー、またこんな話するのもどうかと思うけどさ、ちょっと聞いてほしいんだ。俺が相続した昭和の古い家、ほんとにヤバいんだよ。で、トイレが特に気持ち悪くてさ。なんかやたら冷たいし、夜になると寒さが半端ないって言われてたんだよね。

俺、28歳で普通のサラリーマンやってるんだけど、この家をリフォームすることに決めたんだ。あの家の古臭い感じを一新したくてさ。で、トイレの壁を見たとき、ちょっとびっくりしたんだよ。そこに「助けて」って落書きが書いてあったんだよね。誰がこんなこと書いたのかはわからないけど、ちょっとゾッとした。

でもまぁ、リフォームの予定もあるし、壁を塗り替えるだけだし、気にしないことにしたんだ。その夜からさ、妙な夢を見始めたんだよ。夢の中でトイレにいると、壁から「助けて」って声が聞こえてくるんだ。最初はただの夢だと思ってたんだけど、声がだんだん大きくなってきて、夜中に目が覚めるたびに「助けて」って響いてくるわけ。

そのうち、夢の中でトイレの壁をじーっと見てたら、赤い手形が浮かび上がるのが見えたんだ。ほんとに怖くて、手が冷たくなってくる感じがしてさ、夢の中で壁に触れると、手がすごく冷たいし、深い闇が広がってくるんだよ。

目が覚めたときには、トイレの壁がなんか湿ってるのに気づいたんだよね。それ、まるで誰かが壁の向こうから出ようとしてるみたいな感じだった。びっくりして、リフォームの作業も中断してさ、家の歴史を調べることにしたんだ。

調べてみたら、この家が建つ前に孤児院があったことがわかったんだよね。しかも、その孤児院には行方不明になった子供たちがいたっていうんだ。さすがにゾッとしたよ。あの「助けて」って声、どうやらその孤児院の子供たちの霊が宿ってるらしいんだよ。

霊媒師に頼んで、トイレの調査もしてもらったんだけどさ、やっぱりそのトイレの壁には閉じ込められた子供たちの霊がいて、彼らはずっと救いを求めてるんだって。まじでヤバいって感じだった。

それから、俺はトイレの壁に新しいペンキを塗るのをやめて、そのまま封印することにしたんだ。トイレには「絶対に触れないでください」って警告の貼り紙を貼ってさ。家もだんだん誰も覚えてないような感じになってきたけど、もしこの家を誰かがまた使うことがあったら、また「助けて」って声が響くんじゃないかって、今でもちょっと怖いんだよね…。

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